在宅介護などで痰吸引の 医療行為 が必要と判断された場合、病院から「電動吸引器」の購入をお願いされることがあります。
在宅で過ごすのに必要なため、退院までに用意しなければなりません。
初めての場合は、どれを選んだら良いかわからず悩んでしまいます。
また、「呼吸器機能の障害」がある場合、「電気式たん吸引器」の購入費の一部が「助成(補助金)」の対象になる患者さんもいます。
- 「一般用」「医療用」の選ぶ基準は?
- 補助が受けられる吸引器とは?
- 使用して分かった電動吸引器の選び方
- 人気の「医療用」4機種 徹底比較!
- 故障時の対応と修理費用は?
それでは見ていきましょう!
電動吸引器「医療用」と「一般用」の違いとは?
電動吸引器 には以下の 医療用 と 一般用 があります。
在宅医療の<電動吸引器>は補助金の申請が出来る?
在宅医療で<電動吸引器>を購入しなければならない場合、
主に「呼吸器機能の障害」が重度の方は 電気式たん吸引器 の購入時に、「補助金」を申請できることがあります。
(※条件は退院時にかかりつけの病院で教えてもらえるでしょう。)
電動吸引器の補助申請基準
補助申請基準については、市町村で頂く「障がい者・・・」の冊子のようなものに記載されているかと思います。
※「補助金」は身体障害者手帳を保持するような重度の患者で、「医師」により日常的に吸引が必要と判断されている方でかつ、お住まいの地域の補助金の条件に該当している方のみです。
※健常者の「鼻水吸引」は補助金の対象にはなりません
「補助金」対象の電動吸引器とは?
補助金の申請が可能な場合、医療用の電動吸引器 を選択しなければ補助の対象になりません。
例えば、
<新鋭工業>パワースマイル KS-710
こちらは「補助金」の対象機種 です。
一方、
<新鋭工業>スマイルキュート KS-100
こちらは「補助金」の 対象機種ではありません。
「補助金」の対象吸引器は指定医療機器販売店からの購入が必要!
お住まいの地域によるかもしれませんが、自身でネット通販などで購入したものは「補助金」の申請は出来ません。
多くの市町村では指定した業者または認められた業者での見積もりのみ申請が可能です。
申請例)
「医療用具販売業者で見積もり」
↓
「市町村が見積書を判定」
↓
「市町村で承認」
↓
「業者が納入」
↓
「市町村から業者へ支払い」
「購入者負担金額分を業者へ支払い」
※地域により異なるかもしれませんので病院や市町村へご確認下さい。
在宅医療<電動吸引器>の選び方
在宅医療用の<電気式痰吸引器>は、種類もいろいろあります。
基本的には病院から紹介された業者から、カタログをもらって選ぶことになると思いますが、何度も補助が受けられる訳ではないので慎重に選びたいですよね。
ここでは 医療用電動吸引器 を選ぶポイントを記載します。
・持ち運びが必要になるか?
・充電は吸引器の内部か外部か?
・使用頻度は多いか?
・故障時の対応は問題ない?
<電動吸引器>持ち運びは必要か?
外来受診やお出かけの際、吸引器の持ち運びは必要になるか?
必要な場合は可能な限り、軽い機種 を選ぶことをおすすめします。
ただでさえ、医療ケアが必要な方は他の荷物も多いです。なるべく軽く持ちやすいものが良いでしょう。
<電動吸引器>充電池は内部か外部か?
医療用の<電動吸引器>を購入する方は、電源のないところでの使用が必要な方の方が多いでしょう。
医療用<電動吸引器>の充電方法には2つのタイプがあります。
・本体内部で充電するもの
・本体外部で充電するもの
写真は現在は販売されていませんが新鋭工業の パワースマイル の充電器と充電池です。こちらは本体外部で充電します。
外部充電は外出前に充電が必要になります。
いっぽう、本体内部で充電するものであれば、通常使用時の電源供給で充電されるため、外出時に急いで充電する必要もありません。
更に、急な停電時でも吸引することが可能 です。
(※吸引可能時間は機種による)
使用頻度は多いか?故障時の対応は?
使用頻度が多い場合、やはり故障も早くやって来るかもしれません。
故障した場合、どれくらいの金額がかかる機種なのかを確認出来るようであれば、購入前に確認することをお勧めします。
在宅医療!<電動吸引器>4機種を徹底比較!
在宅医療用の<電動吸引器>はたくさんあります。
かかりつけの病院により、おすすめ機種も異なるかと思いますが
ここでは、以下の4機種(前バージョン入れ6機種)について メリット・デメリット を紹介します。
<新鋭工業>パワースマイル KS-700
性能、重量とも丁度良い!
自宅、持ち運び兼用ならおすすめ!
※現在こちらの機種は販売されておりませんが、使用している方もいるかもしれませんので残しておきますね。
吸引ボトル容量 | 700mL |
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最大吸引圧力 | -80kPa(最大吸引圧) |
電源 | 専用ACアダプター 3電源対応(ACアダプター、シガーライターコード※、充電池※) ※別売り |
外形寸法 | 幅193mm×奥行181mm×高さ238mm |
本体重量 | 約2.3kg |
※2022年7月頃、新バージョン「パワースマイルS/KS-710」が販売されたようです↓
<新鋭工業>パワースマイルS KS-710
パワースマイルKS-700の後続機種!
新鋭工業の電動吸引器では最新バージョンです。
別売りの外付けバッテリーはこちら↓
吸引ボトル容量 | 700mL |
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最大吸引圧力 | -75kPa(最大吸引圧) |
電源 | 専用ACアダプター 3電源対応(ACアダプター、シガーライターコード※、充電池※) ※別売り |
外形寸法 | 幅241mm×奥行129mm×高さ195mm |
本体重量 | 約1.6kg |
従来品よりボトルの数が減り、重量も 0.7kg も軽くなっています。
<新鋭工業>スマイルケア KS-1000
「パワースマイル」のパワーアップ版
パワースマイルより吸引流量の大きいポンプを搭載し、吸引瓶も1000mLと大容量タイプ!
吸引ボトル容量 | 1000mL |
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最大吸引圧力 | -75kPa(最大吸引圧) |
電源 | 専用ACアダプター 3電源対応(ACアダプター、シガーライターコード※、充電池※) ※別売り |
外形寸法 | 幅223mm×奥行226mm×高さ272mm |
本体重量 | 約3kg |
<新鋭工業>スマイルケア KS-1000C
<新鋭工業>スマイルケア KS-1000 の
吸引器本体で専用充電池への充電が可能 なタイプ!
電池残量表示もあるので、安心して利用できます。
(充電時間:90分間充電で約30分使用可能)
機能は「スマイルケアKS-1000」と同様
吸引ボトル容量 | 1000mL |
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最大吸引圧力 | -75kPa(最大吸引圧) |
排気流量 | 22L/min |
電源 | 専用ACアダプター 3電源対応(ACアダプター、シガーライターコード※、充電池※) ※別売り |
外形寸法 | 幅223mm×奥行226mm×高さ272mm |
本体重量 | 約3.2kg |
<ブルークロス>エマジン小型吸引器 3WAY-750S
吸引器本体で充電可能なタイプ!
※こちらも後続機(3WAY-750S-2)が販売されていますが、現在も使用中の方がいると思いますので掲載しておきます。
ボトルの蓋の空きにくさを防ぐためには、洗浄後にボトルとボトル蓋の部分の溝の水滴をしっかり拭くこと!
吸引ボトル容量 | 750mL |
---|---|
最大吸引圧力 | -80kPa(最大吸引圧) |
電源 | AC100V 50/60Hz DC12V自動車専用バッテリ 充電式内蔵バッテリ(12V1500mAh) |
外形寸法 | 幅377mm×奥行112mm×高さ244mm |
本体重量 | 約2.8kg |
<ブルークロス>エマジン小型吸引器 3WAY-750S2
吸引器本体で充電可能なタイプ!
2024年現在はこちらの吸引器をお持ちの方が多いようですが、2024年に最新機種「3WAY」が発売されました。
吸引ボトル容量 | 750mL |
---|---|
最大吸引圧力 | -80kPa(最大吸引圧) |
排気流量 | 16L/min |
電源 | AC100V 50/60Hz DC12V自動車専用バッテリ 充電式内蔵バッテリ(12V1500mAh) |
外形寸法 | 幅329mm×奥行122mm×高さ235mm |
本体重量 | 約2.7kg |
前モデルから横幅が5cm短く33cmとなり持ちやすくはなっていますが、パワースマイルS KS-710 より約1kg重いです。
<ブルークロス>エマジン小型吸引器 3WAY
吸引器本体で充電可能なタイプの『3WAY-750S-2 』の後続バージョン!
『3WAY-750S-2 』より吸引力が56%もパワーアップしましたが、本体重量は2.8kgと前機種よりわずか0.1kg増えただです。
吸引ボトル容量 | 750mL |
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最大吸引圧力 | -80kPa(最大吸引圧) |
排気流量 | 25L/min±15% |
電源 | AC100V 50/60Hz DC12V自動車専用バッテリ 充電式内蔵バッテリ(12V1500mAh) |
外形寸法 | 幅329mm×奥行122mm×高さ235mm |
本体重量 | 約2.8kg |
新鋭工業パワースマイルとブルークロスエマジンどっち?
医療用電動吸引器の選択に「パワースマイルS/KS-710」と「3WAY」で悩む方が多いようです。
持ち運びやすさ!
以前のパワースマイル KS-700は四角形に近い形で持ち運びにくさを感じていましたが、新機種「パワースマイルS/KS-710」は奥行きも小さくなり、ブルークロスの「3WAY-750S-2」「3WAY」より軽くなりました。
大きさ、重量を考慮すると「パワースマイルS/KS-710」の方が持ち運びやすいでしょう。
充電方法~急な外出や災害に備える
持ち運び以外に重要視したいのは、充電方法!
以前のパワースマイルは通常使用時に同時充電ができませんでしたが、現在の「パワースマイルS/KS-710」は外付けの外部バッテリーを購入することで、内部充電の「3WAY-750S-2」「3WAY」と同じように通常使用時に充電ができます。
どちらの機種もいきなりコンセントを外したり、停電しても使用可能になりました。
ただ、「パワースマイルS/KS-710」普段の使用後「充電モード」に切り替えて充電することを意識しなければなりません。
新鋭工業のパワースマイルにも内部充電可能な「スマイルケア KS-1000C」がありますが、こちらはまた四角形に近い形になってしまいますのでベビーカーや医療用バギーに設置が難しい方、バッグに入れて持ち運びたい方はコンパクトなタイプを選ぶことをおすすめします。
吸引力が強い電動吸引器はどれ?
今まで家庭で使用する医療用電動吸引器で、吸引力を重視する方が選んできた機種は新鋭工業の「スマイルケア KS-1000C」が圧倒的に多いようです。
2024年10月現在、人気の新鋭工業とブルークロスの吸引器を比較してみましょう。
<新鋭工業>スマイルケア KS-1000Cと<ブルークロス>エマジン小型吸引器 3WAY比較
人気の電動吸引器、新鋭工業の「スマイルケア KS-1000C」とブルークロス「吸引器3WAY」の比較表を作成してみました。
新鋭工業 スマイルケア KS-1000C | ブルークロス 吸引器3WAY | |
吸引ボトル容量 | 1000mL | 750mL |
---|---|---|
最大吸引圧力 | -75kPa(最大吸引圧) | -80kPa(最大吸引圧) |
排気流量 | 22L/min | 25L/min±15% |
電源 | 専用ACアダプター 3電源対応 (ACアダプター、シガーライターコード※、充電池※) ※別売り | AC100V 50/60Hz DC12V自動車専用バッテリ 充電式内蔵バッテリ(12V1500mAh) |
外形寸法 | 幅223mm×奥行226mm×高さ272mm | 幅329mm×奥行122mm×高さ235mm |
本体重量 | 約3.2kg | 約2.8kg |
上の比較表からもわかるようにブルークロス「吸引器3WAY」の排気流量が「スマイルケア KS-1000C」を超えてきました。
重量もブルークロス「吸引器3WAY」の方が軽く、選択肢が増えましたね。
あとは吸引の多さ(ボトル容量)や持ち運び時の置く場所を(バギーにかける場合は掛ける場所)により選ぶのをおすすめします。
<電動吸引器>問い合わせと故障時の対応
ここでは<新鋭工業><ブルークロス>の「問い合わせ時」「故障時」の対応について記載します。
<新鋭工業>問い合わせ&故障時の対応
<新鋭工業>は、吸引器についてのお問い合わせをすると「購入した販売店へお問合せください!」と案内されます。
個人が直接、メーカーにお問合せをすることができません。もちろん修理も直接お願いすることは出来ません。
<ブルークロス>問い合わせ&故障時の対応
<ブルークロス>は、直接の問い合わせにも快く丁寧に回答してもらえてとても安心です。
ただし、修理は購入業者を通さなければなりません。
<電動吸引器>修理費について
ここでは<新鋭工業><ブルークロス>について記載します。
<新鋭工業>修理費用
<新鋭工業>の電動吸引器は購入時からの 経過年数で修理費が決定 !
何を変えても経過年数で金額は同じため、壊れた部位によりお得だったり損だったりします。
<ブルークロス>修理費用
<ブルークロス>の電動吸引器は壊れている部分の修理費用が発生!
どこが壊れているかにより修理費が決まります。
吸引器どこで買う?
今はネットで遠くの業者から電動吸引器を購入することが可能になりました。しかし注意して欲しいことがあります。
医療用電動吸引器は地元企業での購入がおすすめ
補助金を使用して医療用吸引器を購入する場合、市町村の契約業者でなければなりません。
ネット等で遠くの企業でも購入できるところもありますが、お住まいの地域の取扱業者をおすすめします。
地元企業での購入をおすすめする理由
理由は、故障時の対応です。
メーカーに修理を依頼する場合、購入業者を通して修理をお願いしなければなりません。
購入業者までの配送料、購入業者とメーカー間の配送料などがかかります。
また、いざ故障したときは近くの業者さんの方が安心できるでしょう。病院等から紹介された企業さんは問い合わせにも早期対応頂けます。
まとめ
今回、<新鋭工業><ブルークロス>の吸引器について記載しました。
医療用に電動吸引器を使用している方は 医療用吸引器 とは別にご家庭で 一般用吸引器 を購入し、自宅用と外出用
に分けて使用する方も多くいます。
同じメーカーにするとバッテリーや電源ケーブルを共有できたり便利なものもあります。また、最近では医療用に負けないリーズナブルの 一般用吸引器 もたくさん出ています。
↓こちらの記事も参考にしてくださいね!